〇〇〇〇/7/19
青ヶ島観光
14:55 羽田空港
この日は青ヶ島滞在の最終日だが、昨日一昨日と曇天で、まだ晴れたカルデラの美しい景色を拝めていない。この日は夜型の自分にしては珍しく4:30に目覚ましを合わせた。大凸部に足を運び朝の日差しに染まるカルデラの景色を見に行こうというわけだ。
もう何度か歩いたしっとりした道を大凸部へ。道から眺める大凸部は雲に覆われていない。これはいけるか…と思いつつ、山頂へ向かう。
山頂は少しばかり雲に覆われているものの、カルデラの全景を拝むことができた。3日足を運んでようやくのことである。オレンジ色の日差しに染まる山肌が素晴らしいが、まだカルデラ内には日差しが当たらず黒々とした景色だ。
30分ほど山頂で日が昇るのを待つ。朝早すぎるのか、ブンブンうるさいカナブンの音もまだしない。私の方が早起きだったな。ようやくカルデラ内に日差しが差し込む様になり、美しい景色が目の前に現れた。靄のかかったカルデラ内には光芒が見え、神々しささえ感じる。
4年前、この島に来た時は快晴だった。快晴の景色は遮るものがなく美しかった。しかし雲ひとつない、遮ることのない景色にはどこか味気なさを感じることもある。雲の存在は山肌の美しさを引き立て、景色に遠近感を生み出し、晴れて美しい景色が望めることのありがたさを教えてくれる。
写真を撮りまくっていると、だいぶ日が昇ってきて、日差しの色も白っぽくなってきた。
ついでに尾山展望公園の方にも向かってみることにした。道端にはたくさんのカタツムリ。君たちはどうやってこの絶海の孤島にやってきたの?
こちらも晴れたカルデラの景色を望むことができた。
最後の朝食をいただき、島唯一の商店、十一屋酒店へ。お土産として島ダレを買うことにした。味噌に唐辛子などを入れたタレで、刺身をいただくときに醤油に混ぜると美味しい。初日にはなんだかよそよそしかった店主のおばさんも、顔を覚えてくれていた。店に住み着いている2匹の猫にも別れを告げ、宿に戻って荷物をまとめる。
出発時間になったので、女将さんにも別れを告げる。部屋で寝ているのか朝ごはんを食べに起きてこない宿泊者を心配していた。ぶっきらぼうな感じの人だったけど、本当は優しい人なんだろうな、この人。
ヘリポートに向かい、改装された木造の待合室でヘリの手続きを行う。
待合室には村長さんをはじめとして島の方が多くいらっしゃった。このような島で肉体労働に従事して生きている人々には、やはり自然の中で生きてきた人々特有のすごみがある。冷房の効いたオフィスの中心でキーボードを叩いて大金を動かしているだけの人々は社会で偉そうに生きているけれども、彼らには決して到達できない境地であるように思われる。
ヘリコプターに乗り込む。
3日過ごした島が、ふわりと足元から離れ、小さくなっていく。
初めて来た時も、今回も、この不思議な絶海の孤島はその圧倒的な自然で私に感動を与えてくれた。さようなら、また会う日まで。
30分ほどで八丈島空港に到着である。
飛行機の出発までにはまだ随分と時間があるので、近所の寿司屋で昼飯とすることに。日差しが暑い。30分ほど歩くと、三根集落にあるあそこ寿司に至る。3日前に電話をかけたが営業していなかった。なんとしても地元の寿司屋で寿司を食べたかったというわけである。
今回も島寿司を注文。寿司がウニのように5放射相称に美しく並べられている。寿司ネタも新鮮で美味しい。生き返りますな。客層は地元のおばあさんからチャラそうなカップルまでさまざまで、チャラいカップルがこのローカルな風土を楽しんでいるというのは、少しシュールな感じがする。
近くには八丈民芸やましたという民芸店もある。こちらでお土産を買い足すことにした。店の中には機織り機があり、こちらで機織り体験もできるらしい。
空港に向かう前に、交差点のところにある神社、天照大神宮に参拝することにした。こぢんまりとした神社で、境内にはオオタニワタリが多くみられる。
気温が非常に高く、風もほとんどない。空港まで歩くのが辛くなってきたので、近くのタクシー会社のオフィスに向かう。オフィスでは先客のおばあさんも冷房が効いた部屋で涼んでいた。こんなに風がない日は八丈島では滅多にないそうだ。
タクシーで空港へ。そしてパッションフルーツを買って帰路についたのだった。帰りの飛行機ではうたた寝をしながら、島での美しい自然と素晴らしい体験を思い出していた。