Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

BORA ULTRA WTO 45

ようやく仕事関連の行事が一息ついたので、久しぶりにブログを更新。

以前C64のインプレッションを書いた。素晴らしくよく走る自転車だが、高速域で妙なスピードの頭打ちを感じる。フレームの実力からすると明らかにおかしい。どこかでパワーが吸われているはずだ。

ひょっとしてホイールではないか?

以前の記事にも書いたけど、レーゼロカーボン(前後公称値1440g、実際は1500gくらい)はフロントに不均等に配置された極太アルミスポークが21本ある。特にハンドリングの左右差をなくすためであろう、ブレーキローターがついていない側のスポークが厚くなっている。ひょっとしたらこのスポークパターンが高速域での空気抵抗を増しているのではないか…そう思った。

ディスクブレーキロードバイクのメリットとしてリムでブレーキをかけないため、カーボンホイールを普段履きすることができる、というのがある。そういうわけで、カーボンでのミドルハイトのリムで、重量が比較的軽そうなものに履きかえようということになった。

候補としては、

・BORA WTO 45(カタログ値前後1520g)

・BORA  ULTRA  WTO 45(カタログ値前後1425g)

・CADEXの各ハイトのチューブレスホイール(36 or 42)(前者でカタログ値1302g、リムテープ別)

CADEXはその高性能に定評があるが、やや細いカーボンスポークが使われており、輪行を頻繁に行うものとしてはやや扱いづらい(ひょっとしたら大丈夫なのかもしれないが…)せっかくなのでステンレススポークで安心感があり、重量が軽めのBORA ULTRA WTO 45をチョイスすることにした。やや値段は張るが、カンパニョーロのトップモデルには信頼性と安心感がある。

 

さて、ここからはインプレッション。

ローターとスプロケットを移植して走り出す。

一漕ぎ目からペダリングが軽い。軽すぎる。そして勝手にホイールが回っていき、スピードが上がっていく。時速35kmでも40kmでも抵抗を感じず、巡航の楽さが半端ではない。

なんだこれは…

今まで30kmを維持するために必死でペダルを踏みつけていたのが嘘のようだ。これはホイールの空力と、フレームとホイールの相性があるのだろうと思う。C64のフレームは芯が硬い。耐久性が高いので輪行する人としては有難いのだが、硬いホイールと合わせるとペダリングが軽くなりすぎてしまい、トルクがかけづらい。このボーラウルトラWTO45はややしなやかなホイールなので相性がいいのだろう。同じフレームでも、相性の悪いホイールで必死にガシガシ踏みつけるよりも、相性のいいホイールにするだけで巡航スピードが5km近く変わってくるなんて示唆に富む話ではある。

それにしてもこのボーラウルトラWTO45、一度トルクを与えるとそのトルクを吸収したかのようにバネのようにしなり、その後猛烈に吹き上がるかのようにスピードが上がる。フレームの性能をホイールが引き出しているのか、ホイールの特性なのか…でもこのホイールに換えた後のc64は、よりコルナゴのCシリーズに相当するような加速をするようになった気がするので、これが本来の実力なのだろう。

リムハイトから想像できないくらい横風に強いのも特筆すべき点。ローハイトのアルミリム程度にしかハンドルが取られる感じがせず驚きだ。まさにWind Tunnel Optimizedというわけだ。昔のボーラ50は結構横風にハンドルを取られていた気がするので、その技術の進歩にはびっくりだ。

最後に、このホイールは上り坂でも実力を発揮する。緩斜面くらいならばほとんど傾斜を感じることなく時速30kmで突破できてしまう。急斜面に差し掛かってもやや低めのケイデンスでトルクがかけやすい。唯一10%をこえる急斜面では、レーゼロカーボンの方がペダリングしやすい感があるけれども、ほとんどの部分でボーラウルトラWTOが上回っており、総合点では圧勝である。

時速30kmと35kmの違いは、体感的にはかなり大きい。自転車に乗ることの楽しさを改めて思い出したような気がして、ホイールを替えてから走行距離がぐんぐん伸びている。

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安房峠にて。ヒルクライムもさらに快適になった

 

発売から半年くらいROMっているが、BORA ULTRA WTOのインプレ記事を書いたブログはほとんど見当たらないので、参考にしていただければ幸いです。