Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

メキシコ(2) コロニアル都市プエブラ

2/19

0730 AICMバスターミナル発

0930 プエブラ CAPU着

終日プエブラ観光

キンタレアル・プエブラ

 

本日はプエブラへ移動する日である。

朝7時半に出発のバスに乗るということで、朝5時半に起床した。

カミノレアルは朝5時から朝食が食べられる。ビュッフェもたくさん種類があり、なかなか美味しい。残念ながらハム類だけは劣化した匂いがしたが、そのまま食べてしまった(これはのちに苦しむ腹痛の原因であったかもしれない)。… 地元の宿泊者のおばさんが謎の食べ物について食べ方を教えてくれて助かった。日本から来ているというと、「世界中旅行しているのね!」という感じ。おそらくメスティーソの人だが、とても明るい感じで親しみやすく感じがいい。

あ、この国好きになれるかも。そう思った。

朝食を済ませてバスターミナルへ移動する。ホテルの真横にあるバスターミナルは、プエブラ行きのバスが出ていないらしく、空港まで戻って別の場所へ移動した。2階のセブンイレブン横の通路を通って、バスターミナルへ。

あいも変わらず英語がほとんど通じないのだが、たまに英語を話せる人がかなり助け舟を出してくれる。英語を話せない人もとても親切だ。メキシコのバスは荷物検査などを厳格に行なっていて、まるで空港のよう。スーツケースを預けゲートを抜けてバスを待つ。メキシコシティは高地にあり、降水量もそれほど多くなく、朝晩の寒暖の差が著しくとても冷える。バスは遅れて登場し、結局出発は30分後の8時過ぎだった。

バスは運転台と客席の部分の間にドアがあり、厳密に仕切られている。青いカーテンは閉ざされており、日本の高速バスのように窓の外を見る雰囲気ではない。謎の映画が流れていたが正直うるさいので、イヤホンで耳を塞ぐ。

バスはイスタパラパというスラム街を抜けると急に山がちになる。木の疎らな大地にはたまにウチワサボテンが生えていて風情を感じる。山道の高速道路をどんどん登っていき、腕時計についている高度計は峠のあたりで3000m近くなった。なかなかすごいところだ。

峠を越えると景色がひらけ、プエブラの近くに聳える大きな火山が見えてくる。Paseo Destinoというプエブラの南のターミナルに到達したのち、プエブラのバスターミナル、CAPUに到達した。

CAPUはかなり大きなバスターミナルで、何個ものウイングがある。たまに怪しげな人が歩いていて治安が若干心配だ。とりあえず、何回もバスターミナルに来るのが面倒なので、2/21のクエツァラン行きのバスチケットを取ることにした。VIAというバス会社が運行しているが、ネットではチケットを取れない。バスターミナルの大きな広場にあるVIAのオフィスに行くと、ここでもまあ英語は通じないのだが、2/21の時刻表を見せてくれた。バスチケットは出発ロビーのオフィスで買えという。出発ロビーのオフィスにいるおばさんに話しかけ、もはや英語が通じないことは明白であるのでGoogle翻訳と身振り手振りでコミュニケーションをとり、2/21 8:55 CAPU発のバスチケットを取ることに成功した。280ペソなり。

 

CAPUからセントロへはバスが出ているらしいのだけれど、近くにいる警察に聞いてみるとそのバスはここから遠いところから出ているようなので、諦めてタクシーで向かう。前払い制のタクシーは安心ではあるもののかなり値段が高く、90ペソでほぼ日本のタクシーの初乗りと変わらない。セントロに着き、わずかに歩くと本日の宿、キンタレアル・プエブラである。部屋が開くのが2時間後ということなので、荷物を置いて街並みの散歩に向かう。カテドラル、サントドミンゴ教会は15時から17時の間しか空いていないようなので、ひとまずタラベラ焼きの工房を見に行くことにした。

タラベラ焼きの工房、ウリアルテは上品な雰囲気

こちらは別の工房にて。シックなデザイン

 

タラベラ焼きはスペインの陶器をベースに先住民独特の意匠を加えたデザインが特徴的である。基本的には白地に青を基調として、黄色や赤といった差し色を加えたデザインが多いが、それ以外の色のものもたまにみかける。
Uriarte Talavelaは街の西側の外れにある工房である。周囲の雰囲気はやや荒んでいていて歩くのが心配であったが、建物の内部はとても良い雰囲気で、たくさんのタラベラ焼きが並べられている。しかしながら近くで見ると意外と柄が大味である。とても高級感があったものの、大きい皿ばかりなので持って帰るのが困難と考えられ、買うのは控えることにした。今度はセントロを挟んで反対側の工房へ。Armandoを紹介しているページが多かったが、柄が大味なものが多く、正直あまり気に入らなかった。ArmandoのあるArtesanias El Parian市場周辺にはタラベラ焼きのお店が何個かあり、ここにあるお店の一つで可愛らしい丸い一輪挿しのようなものを買った。120ペソなり。お店自体は若干shabbyな感じではあったものの、店番をしている少年がとても素直な感じで気に入った。町並みは軒並みペンキで塗られたカラフルなものだが、時折レンガ壁の中にタラベラ焼きのタイルが練り込まれたおしゃれな建物が混在している。6ノルテ通り周辺のカラフルで華やかな街並みを散策したのち、図書館へ。

ソカロ周辺は大変な賑わい

カラフルな町並みはメキシコらしい趣

ソカロに面した通称「砂糖菓子の家」

こちらの図書館Biblioteca Palafoxianaは内部にパティオを持つ、このあたりの建築物としては一見普通の構造であるが、2階の一室に図書室がある。木造の本棚に多数の本が並べられており、大変にフォトジェニックな雰囲気だ。近くの通りはこの町としては珍しくたくさんの木が植えられており、木陰にほっとする。ここまでくるとホテルはすぐそこだ。

美しい図書館

このホテル、キンタ・レアル・プエブラ修道院を改装してできたホテルだそうで、ロビーは大変趣があり、上流階級と思われる偉そうな西欧の年寄りがロビーのソファでくつろいでいた。この建物には何個もの美しいパティオがある。部屋の準備ができたとのことで、自分はパティオに面した1階の一室を割り当てられていた。自分の経験的に、こういう古くからのホテルは下の階の方が案外オリジナルに近く、上の階は増築後の建物だったりするので、1階の方がいいことがある。かつては煙のように上の階を指定していたが、実情を鑑みると必ずしも1階が悪いわけではない。まるでプエブラの道の喧騒が嘘のように静かで、時折聞こえる鳥のさえずりとパティオにある噴水が立てる音が美しい。

キンタレアル・プエブラは静かでよい雰囲気のホテル

さて、一休みした後、カテドラル、大聖堂へ向かうことにした。カテドラルは大変大きい。天井はそれほど装飾的ではないものの、質実剛健という感じであった。最近はイスラム教国ばかり行っていたこともあり、キリスト教国の教会というのがかえって新鮮だった。カテドラルの外に出るとアーニャのコスプレ(!)をした地元の人がおり、スペイン語圏におけるアニメの人気ぶりを思い知らされる。

壮大なカテドラル

 

アーニャのコスプレ


サントドミンゴ教会は、カテドラルとは打って変わって金色の立体的な唐草模様で装飾された大変豪華な教会である。よく見ると唐草模様の中には人の顔が埋め込まれている。これは先住民文化を取り入れた影響とのことだそうだ。

サントドミンゴ教会

豪華絢爛な装飾

よく見ると独特の意匠が。唐草模様の中に人が埋め込まれている



夕食はEl Muralという、ネットで見つけたサイトのおすすめレストランを訪れることにした。キンタレアルプエブラとはほど近いところにあり、高級感が漂っている。3種のモーレとか5種のモーレがこの店のイチオシだそうで、自分は3種のモーレを注文した。モーレというのはプエブラソウルフードみたいなものらしい。焦茶色のモーレ・ポブラーノというのが有名である。これはカカオの粉やスパイスが練り込まれたソースだそうだが、なかなか独特かつ強烈な風味で、最初の自分には流し込むのがやっとで、それ以上ものを食べられる気がしなかった。しかも食べたらだんだんお腹の調子が悪くなってきた。

3種のモーレを注文。味は好みがわかれるが…


この店、サービスは値段相応の良さであるが、流石に1皿に295ペソというのはちょっと高い気がした。いかにも上流階級の人向けといった感じで、客にメスティーソインディヘナ風の人はほぼ全くおらず白人ばかりで、この日が日曜日ということもあるだろうが、昼間から酒を飲んでいる。

メキシコを含む白人社会というのは大抵がこのような階級社会になっているが、階級社会というのも考えものである。本人の能力に応じて上が目指せるような社会システムならまだしも、階級社会というのは大体そのようになっていないからだ。最近は日本も貧富の差が拡大しているそうだが、頑張っても報われない社会では人々が頑張ることをやめ、国の雰囲気は停滞してしまう。などということを考えていた。

 

キンタレアルに戻ると体調が悪く、体はだるいしなんだか発熱している気がするし、お腹は痛いしで、どうもやばいような感じがして速攻で寝ることにした。次の日に発熱で苦しむ可能性はまああるだろうなーと思っていたが、予想通りになるのであった。