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0620ごろ バス停へ
0700 クスコのバスターミナル発
Huariの教会、ラクチー遺跡、プカラなど
1830 プーノのバスターミナル着
Hacienda Puno泊
クスコからプーノへは、聖なる谷ほどの規模ではないものの、インカ帝国時代の遺跡が点在する。これらの遺跡を巡りながら移動する観光バスがいくらかのツアー会社より運行されている。本日は朝早めに起床し、観光バスに乗ってプーノへ向かう。
Costa del Sol Ramadaは朝4時半より朝食を提供している。この朝の早さは大変助かる。ゆっくりと朝食を食べ、荷物をまとめてロビーへ。時間通りにおじ(い)さんガイドが迎えに来た。初日に聖なる谷を案内してくれたドライバーとともに、バスターミナルへ向かう。昨日はどうでしたか、と聞かれたので、サクサイワマンまで歩いて行きました、と言ったら驚かれた(他のブログを読むと、たまに居るようだが…)。
バスターミナルは町の外れにあるようで、ターミナルまでは20分ほどかかった。空港を少しこえたところで、今回乗車するバス会社〇〇のターミナルに到着。クスコープーノといえばインカエクスプレスというバス会社のバスが有名で、当初はそれと聞いていたが違う会社のものらしい。ここでガイドに記念撮影を求められた。初日に空港にいる民族衣装の(どう見てもチップをせびってきそうな)おばさんとの記念撮影を勧めたり、の周遊チケットの件もあったりして最初はかなり疑問の目を向けていたが、それほど悪い人ではなかったようだ。
緑色のバスに乗り込む。座席は前から2番目の窓側で隣に人はいない。乗客は観光客ばかりだが、全体的に年齢層が高く、落ち着いた雰囲気だ。まず本日の行程を簡単に説明し、地図が簡単に回覧される。まずはHuariというところにある教会を訪れる。さらに巨大な建築の意向が残るRaqchi遺跡を観光、昼食ののちLa Raya峠やPucaraの博物館などを観光する旅程だ。入場料は含まれておらず、各観光施設で58ソルを支払うことになる(と言われたが、結局入場料を支払うことはなかった。謎)。
細長いクスコの町を過ぎると、次第に緑が増えてくる。急峻な谷あいに美しい湖が点在する、素晴らしい景色だ。バスガイドが近くのお店で、地元のローカルなパン"Chuta"を買ってきて、乗客にふるまってくれた。シナモンの効いたふわふわでおいしいパンだ。適宜ドリンクも提供され、水やインカコーラなどを選ぶことができる。
しばらく走ると、Huariという小さな村に到達した。この町の中心の広場に面して、小さな教会がある。
ガイドに導かれ解説を聞く。この協会は先住民にキリスト教を根付かせるために築かれた教会で、聖書に書かれている様々な出来事が描かれている。その一方で太陽や月など、先住民の信仰を取り入れた絵画もあり、非常も興味深い。絵画の雰囲気としてはチンチェーロのそれに似ており、少し土着的な趣がある。写真撮影は遠慮するようにと言われたが、なぜか途中で1枚だけと許可され、バスの乗客は結局写真を撮りまくっていた。
村の中心部には小さな博物館があり、出土品などが展示されている。
乗客を乗せると、再びバスは出発しラクチー遺跡へ向かう。
ラクチー遺跡は近くにある火山の溶岩を使って作られた遺跡で、食糧の貯蔵庫、居住区、そして大規模なビラコチャの神殿の遺構がある。入り口を入って一段登ると、黒い石で作られたたくさんの丸い石垣が立ち並ぶ景色が現れた。これが貯蔵庫である。一部は屋根が復元されていた。
貯蔵庫を突っ切る道を進んでいくと、居住区が現れる。ここはまるでマチュピチュのような石組みが残っているところだ。神殿の横にある居住区はインカの支配層が住んでいたところらしい。日差しが強く、日陰に入りながらガイドの話を聞いた。
さらに進んでいくと、綺麗に加工されたインカの石組みの上にアドベで築かれた大きな壁が一直線に並ぶ建築物の遺構が現れた。これがビラコチャの神殿の遺構だ。柱の基礎であったと言われる丸い石組みも点在しており、この神殿がかなり大きな建物であったことがわかる。しかし度重なる地震で崩壊したりはしなかったのだろうか。そうであれば、やはりインカの建築技術はすごい。
近くの教会前の広場には素朴な土産物を売る市場があり、たくさんの可愛らしいお土産が売っていた。小さな子を抱いたおばさんが店番をしていて、カメラを向けると「1ソルね!」といって大笑い。この小さくのどかな町で、先住民の血を色濃く引く人々たちは明るく、そしてたくましく生きている。川沿いの道を歩き、バス停に戻る。
再び出発し、しばらく走る。レストラン「La Pascana」にて昼食休憩となった。
ドリンクは含まれていないが、ペルーでは大抵コカ茶を無料で飲むことができるので、飲み物には困らない。ガラス張りの窓からは美しい谷あいの景色が見える、観光客向けの素朴なレストランであった。このバス会社がいつも利用するレストランらしく、反対方向のバスも到着し、レストランは観光客で賑わっていた。
レストランを発つと、次第に景色は荒涼としてきて、アドベブロックに青白いトタン屋根の小さな家屋が点在する、少し寒々しい景色となる。緑も少なく、山並みには雪が見える。これでも地球温暖化の影響で、かなり雪が減ってしまったとか。ほとんど家がなくなり、しばらくするとラヤ峠である。標高が高く、気温の低さを感じるが、ここにも土産物や織物を売る売店が並んでいる。この自然の厳しい地で生きる人々の逞しさには、目を見張るものがある。
ラヤ峠からはほとんど木の生えない大地をしばらく走っていく。次第に景色が開けてきて、チチカカ湖畔の広大な平原の一角となる。
途中でプカラに停車し、博物館を見学。
インカの創始者マンコ・カパックの降臨伝説で知られるチチカカ湖周辺のこの辺り一帯は、かつてはティワナク文化の影響を受けていた。有名なティワナクの石像と類似するような、デフォルメの効き角張った石像が展示されている。インカ帝国に支配された後の石器や陶器なども展示されていた。この地域で作られる布や食文化の紹介コーナーもある。
正直建物はあまり工夫されているとは言い難い簡素なものであったが、なかなか興味深かった。近接するお土産屋は充実しており、汚い無料トイレで用を足したのち、チンチェーロで買うことのできなかった瓜の彫刻、マグネットなどを購入。お土産選びに夢中になり、バスに乗り込んだのは私が最後だった。
木の生えない大地をバスは走っていく。空漠とした景色、時折川にフラミンゴが止まっているのが見える。いよいよ、ずっと憧れていたチチカカ湖に訪れる日が来たと思うと、感慨深い。
少しずつ家が増えてきて、都会になるとそこはペルー側チチカカ湖周囲の都会、フリアカだ。フリアカはこの地域の文化的・経済的な中心である。バスからは道を渡っていく民族衣装の人々が見えた。バスはあえて町のはずれの丘に付けられた道を走り、フリアカの市街が一望のもとに見渡せた。
フリアカを過ぎたあたりでゆっくり日が暮れ始めた。空が紫色に染まる頃、バスが路肩に止まり、動かなくなってしまった。エンジンの故障であり再始動ができず、代車になるらしい。結局ここで1時間ほど足止めをくらい、荷物を別のバスに移して、再び出発。これまたなんとも南米らしい出来事で、特に腹も立たなかった。
すでに日が暮れて夜になってしまった。バスはプーノの夜景が綺麗に見える坂を下っていき、ほどなくしてバスターミナルに到着した。
バスターミナルにはドライバーが待機していなかったが、ターミナルを出てキョロキョロしているとドライバーが車から出てきた。ホテルへ向かう。ホテルへは10分ほど、途中でプーの滞在中の行程を説明する女性ガイドが乗り込んだ。
ホテルに到着し、チェックイン。ガイドから明日・明後日の日程の説明を受ける。明日からはウロス島宿泊を含めた1泊2日のツアーになるが、8時20分にホテルのロビーに集合とのこと。3日後の朝にボリビアへ向かうバスのチケットも一応提示されたが、国境の状況が流動的であるため当日になってチケットを渡すと言われた。「Do you have any questions?」と何回か念を押された。
ホテル「Hacienda Puno」は基本設備が古く、部屋はだだっ広い三人用の部屋であった。鍵は機械式でカードキーですらないが、要所要所はアップデートされており、風呂場も適宜改装されている。本日はほとんど歩いていないので、この日も夕食は抜きにして寝ることにした。