全く今までの記事とは方向性が違うが、趣味で自転車をやっていて、このたびようやく新車が納入されたので、そのインプレッションを簡単にしていきたい。
自転車に関するブログというのは往々にして自慢になってしまいがちなので避けたいと思っていたが、インターネット上ではあまり自分とおなじ機材を使っている人が見当たらないので、これから同じ機材を使う人は参考にしていただければと思う。ただし脚力も体力も大したことないので、あまり参考にならないかもしれない。
◆主な機材編成
コンポーネント:Campagnolo Super Record 12S disc 機械式 50-34T, 11-32T
ディスクブレーキローター径 160mm-160mm
ホイール:Fulcrum Racing Zero Carbon CMPTZN disc
ハンドル:Deda Alanera DCR
タイヤ:Schwalbe Pro One tubeless easy 25C
◆インプレッション
・フレーム
巷で硬い硬いと騒がれていたが、意外にしなりを感じる。C59よりは柔らかく、一点に固定されたクランクを必死にクルクル回す感じであったC59と比べると、ペダリングはかなりしやすい。しかしながらラグフレームなだけあって、フレームの隅の硬さはしっかり残っている印象。後述のホイールの特性もあって高速巡航がいまいちだが、他者のインプレッションを見ていると高速域での爆発力があるらしいので、これは完全にホイールのせいだろう。ボーラウルトラなどに履き替えれば全く違った印象になるはずだ。登り坂では絶妙なしなりで進行方向に吸い込まれるような快適なペダリングができ、どんな峠でも越えられそうな気がしてくる。フォークの安定性が際立っていて、高速コーナーでも全くビビりが出ない。この点ではピナレロのドグマよりも優れているように思う。
今回のバイクはあらゆる峠を苦なく登れるようにとのことでフロントはコンパクト、リアはより大きなギアを採用した。このバイクで特筆すべきはやはりこののコンポだろう。リアの変速性能は元から文句ないが、今までシマノの105並みと揶揄されていたフロント変速は、確実にデュラエースに比肩するまでになっている。今までのカンパのフロント変速のようにチェーンリングにガリガリとチェーンを押し付けてようやく変速するような感覚は皆無で、シフトボタンを一旦奥まで押し込めば何もせず勝手に変速するというのは今までのカンパユーザーとしてはちょっと感動的である。私の言うことが信じられないなら近所の自転車屋でカンパ12sで組まれた自転車を触ってみると良い。
もう一つ特筆すべきはブレーキフィールで、シマノのディスクブレーキを触った時はその制動力の立ち上がりの急さとモッサリしたフィーリングに首を捻ったが、カンパのディスクブレーキは握った力に対してリニアに制動力が発揮され、しかも以前のカンパと比較して制動力の絶対値も高い。これは本当に素晴らしい。このブレーキフィールのためにカンパを選んだ価値があったというものである。ただし部品調達の関係でディスクブレーキのローターは前後とも160mmになっているので、後ろを140mmにしたら少し違うかもしれない。現在のカンパのディスクブレーキはローター径に応じてエルゴパワーの部分まで別仕様になっているらしく、種類が増えすぎて大変だそう。そして最近この12sには公式にはアナウンスされていないが微妙なマイナーチェンジがあって、ミネラルオイルの種類変更やリーチアジャスト機構の省略などが行われているらしい。圧倒的にマイナーチェンジ前のバージョンが推奨される。
カンパニョーロは以前から一部の玄人に好んで使用されているが、12sのシフトフィール、ブレーキフィールは本当に素晴らしい。そして変速操作そのものが好きなので機械式にこだわったが、これもやっぱり正解であった。シフトフィールは素晴らしく、それでいて余計な力はいらないので、電動変速の必要性に首を捻ってしまうほどだ。デジタル時計がどれほど発達しても機械式時計の魅力が決してなくなることがないのと同じように、どれほど電動変速が人口に膾炙しても機械式変速の魅力は衰えることがない。
・ホイール
登り坂でのペダリングの軽さと初速の軽さが際立っている代わりに、時速30キロを超えるあたりから加速が鈍化する。フレームのポテンシャル的にはここからが本番のはずなのでホイールのせいでは?と思って調べてみると、Twitter上でもレーゼロカーボンDBに対しては同じ意見を見つけることが出来るので、やはりそうなのだろう。まあ、この自転車は上り坂の軽さを追い求めた組み合わせだし、そもそも私はあまり高速巡航しないので自分には関係ないかもしれないが、高速巡航性を求めるならあまりこのホイールは得策ではないかもしれない。おそらくフロントに極太スポークが21本もあるせいだろう。コーナーリングでは特に違和感はない。
・ハンドル
昨年ツール優勝者のポガチャルも使っていたという例のハンドル、デダのアラネラ(ケーブル内装に対応したバージョン、DCR)である。下ハンの剛性はやや低く、思いっきり押すと結構たわむ。自分が持っているGDRの245という剛性最強の絶版カーボンハンドルと比べると剛性の低さが目立つが、まあ所詮は一体型ハンドル、カッコの方が大事ということだろう。個人的には重量があと30グラムくらい増加してもいいからもっと剛性が高い方がいいかも。
・サドル
コルナゴの自転車に敢えてピナレロのサドルをつけてみるという蛮行であるが、このサドル、結構座り心地がいい。特に後ろ乗りの時はまるでソファに座っているような座り心地で結構好きなんだよな。
・タイヤ
過去のサイスポのインプレでも好評であったシュワルベのプロワン。25Cであるが、レーゼロカーボンに装着すると太さは大体26mm程度になる。これは素晴らしいタイヤ。5〜6気圧くらいで走った印象だが、振動の減衰は早く、グリップ力は高い。転がり抵抗も軽くコロコロと走れる。文句があるとすればリムとの密着性がやや低く、大きな段差を超えるとリムとタイヤの間からシーラントが飛び出すことがあること、チューブレスにしてはやや空気の抜けが早いこと。そしてもう一つのネックは価格だろう。