Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

パキスタン(9) 断食するブッダ

5/4

朝ムルターンを出発

途中ドライブインにて昼食

ラホール到着後、ラホール博物館観光

Luxus Grand Hotel

 

 

残念ながら本日は予定表通りの午前中ムルターン観光ではなく、朝からラホールへ移動するらしい。まあ、私の確保した日程がムルターンをゆっくり観光するのに不十分な感じもあったので、仕方ない部分もある。ラホールでは本日はラホール博物館を見学。アクティビティに乏しい日だったので、記事の内容はほかの日に比べて薄いかもしれない。

起床するがお腹の調子が最悪で、朝食を食べれない。

部屋でゆっくりしていたところガイドから電話がかかってきて、「朝食は食べてないようだが大丈夫ですか」と聞いてきたので体調の不良を伝える。腹を下して脱水気味であるが、ラホールへ出発した。

ホテルを出発

相変わらず中国の援助で完成した高速道路をラホールへ向かう。高速道路は昨日もそうであったが比較的空いているのが印象的だった。

途中ドライブインで食事する。当然腹の調子が悪い時は絶食が基本であるが、「白いご飯はお腹にいいですから」などとよくわからないことを言って食事を勧めてくる。こちらのことを気遣ってくれるのは非常にありがたいのだが、大抵こちらの意見を無視した形で良心を押し付けてくるので結果的にはありがたくないことの方が多い。ハルワーを売っているチェーン店がこのドライブインに出品しており、ガイドが店員に頼んでどのようなお菓子か見せてくれた。

ハルワーを売る店

食事が終わると再び高速に乗り込む。

相変わらずマンゴーなどの畑の中を行くが、次第に景色が都会になっていく。緑に囲まれた用水路に沿って走るようになるともうラホール市街で、そこから30分ほどでラホール博物館に到達した。

ラホール市街は近い

ラホール博物館の建物はイギリス統治時代に建設された立派なものである。

ラホール博物館

何個か大きなホールがあり、時代やテーマによって展示が分けられている。インダス文明時代、ヒンドゥーや仏教時代、イスラームの征服後の時代、そして現在のパキスタン。もともと博物館は流し見スタイルな上に、体が消耗しており腹痛もひどく、あまり内容に集中できなかったのでそれほど印象には残っていない。

イスラーム以降の展示エリア
タイのエリア
ヒンドゥーエリアと、中国エリア
インダス文明エリア。現在一部が改装中だった

パキスタンの様々な民族衣装が展示されるエリア

そのなかでただ一つ印象的だったのは、仏教関連の展示エリアに置かれた、かの有名な「断食するブッダ」。度重なる腹痛と下痢でげっそりした現在の自分とそっくりであろうことだけが妙に滑稽であった。しかし断食して悟りを開いたブッダと、観光旅行で食あたりしくはストレスから下痢が止まらない私とは天と地との差である。妙に乾いた笑いがこみ上げてきた。

断食するブッダは今の自分の象徴である

それでも後から振り返ってみると、やはり仏教関連の美術は日本で目にすることが多かったからだろうか、展示品に対する私の「解像度」はやはり仏教関連エリアが一番高かったように思う。

ラホール博物館からはホテルに直帰し、チェックイン。

Luxus Grand Hotelは少し古いが荘厳な装飾がなされており、古き良き高級ホテルという感じだ。これでも宿泊費は1万円ちょっと。パキスタンの物価は安いが、今の日本も外国から見たらこんなものなのだろう。悲しいことである。

ホテルロビーは絢爛な装飾

客室は広かったが、浴室がガラス張りになっていて(私は行ったことはないのだが)ラブホテル。高級ホテルではあるが一体何が想定されているのか… 相変わらず腹の調子が悪い上に、ラホールに来たあたりから鼻水が止まらない。空気が悪いことと関係があるのかもしれないが、明日にはよくなっていることを祈りたい。

少し古いが、趣がある

食事は私とドライバーとガイドの3人で、ホテルのレストランで食べる。

中華風ピラフと鶏肉のカレーであったが、中華風ピラフは日本で食べるような炒飯ではなく、パキスタンのピラフを中華風にアレンジしたのが印象的だった。

夕食

いよいよ明日は最終日であるが、この旅行で見たものを振り返り感慨に浸るには体調が悪すぎる。とりあえず現地の病院のお世話になることなく生きて帰ることに専念しなければならない。日程を詰め込みすぎたことに対する後悔、そして私の意見を反映してくれないガイドへの不満は当然無意識のうちに渦巻いていたように思うが、それを頭の中に巡らせるほどの余裕はなかった。