Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

マダガスカル(4) マンジャ

6/30

0830ごろホテル発

未舗装道をマンジャへ

マンジャ市街観光

Kanto Hotel

 

 

本日はマダガスカル観光のメインコースから外れ、ムルンダバから南南西に伸びる未舗装道をマンジャへ移動する。尤もこの道はGoogleMapには記載されていなので、実際はどの方角へどのような道が伸びているのか想像もつかなかった。実際はどのような光景が広がっているだろうか。

本日は比較的ゆっくり起床する。

朝食は夕食と同じ会場でバイキングだ。パンやフルーツはもちろん麺入りスープなどもある。これは昨日キリンディ保護区で食べたのと同じような感じだった。朝晩は非常に冷え込むので、暖かいスープが嬉しい。本日の行程では道沿いにまともなレストランがないため、朝ごはんを多めに食べた。

朝食

8時半にホテルを出発。一昨日の車はクラッチの調子が悪かったため、トヨタの車に交換してドライバーのZさんが再び現れた。今日からアンタナナリボにつくまでの7日間、私の行程に同行する。

ホテルを出発する

ムルンダバでは街中をジョギングしたり散歩したり、人々の平和的な生活が垣間見える。

朝のムルンダバ市街

市街を過ぎると、アンタナナリボへの道から南へ分かれる、「Belo-sur-mer方面」と書かれた案内板のある未舗装路に入る。

この道に入る

未舗装路は少し薄暗い森のなかを潜り抜けるところから始まる。舗装路とは想像もつかない振動ばかりの道。乗っている方もきついが、もちろん一番きついのはドライバーだろう。Zさんはドライバー歴10年以上のベテラン。大変に頼もしい。

 

時折道沿いに水や荷物を手に歩いていく住民をまばらに見かける。彼らは車を見かけるとほぼ必ず我々に会釈を交わしてくる。子供は我々を見かけると、「ボンジュール!」か「ボンボーン!」のどちらか。大人は礼儀正しく、子供は元気いっぱいだ。

木の下に頭に荷物を載せた人々が見える。実にアフリカらしい光景

主に茅葺きの屋根と、木の枝もしくは泥でできた壁の風情ある集落が点在している。集落は小さなものばかりではなく、時折小学校や教会がある、それなりの大きさのものもある。インフラなどほぼ皆無に等しいと思われるこんなところでも、人々はたくましく生きている。

時折集落が現れる

大きなバオバブが点在し、時折野焼き跡の草原に多数の蟻塚が見られる落葉樹林の光景のなかをひたすらゆく。時折小さな川や運河、沼を渡るが、それなりの深さの水の中を突っ切っていく様はダイナミック。川辺では洗濯をする人々が見られ、川の近くには水田や畑がみられる。

 

いくつもの集落を過ぎ、何回か川を渡ったのち、昼食を兼ねて休憩となった。私は昨日の弁当に入っていたパンの残りを食べる。ドライバーとガイドはハムやチーズ、そして大きなパパイヤを切って食べていた。「パパイヤ食べますか?」と聞かれたが、パパイヤ独特のくさみがどうも苦手で、私は食べなかった。この辺りは野焼きの草原が広がっている。近くの蟻塚を観察するなどして時間が過ぎた。なお、この野焼きは焼畑農業のためではなく、野焼きののちに生えてくる新しい草の芽がコブウシの餌となるからだそうである。

しばし休息。棗の木と蟻塚

ずっと平地を走っていたが次第に穏やかな起伏が現れる。草原の中を走っているとバッタの大群に襲われた。バッタの大群のうち多くは逃げ去ったが、そのうち一部は窓に激突してそのままお亡くなりになった。南無三。

バッタの大群に遭遇

1時間ほど走ると舗装路に出て、ここで検問。検問では場所によって対応が異なることが多いが、ここではパスポートの提示を求められた。検問の近くでは子供達が無邪気に遊んでいた。

検問所で遊ぶ子供

舗装路が現れるとマンジャ市街はすぐ

ここマンジャは大きな都市のないムルンダバとトゥリアラの間の唯一のオアシスと言ってもいい都市で、中学校までの学校や教会、そして大きな市場がある。(なお、書き忘れていたが、wikipediaや私の見た本ではマダガスカルの宗教は伝統宗教がメインでキリスト教は半分以下とされていたものの、ガイド曰くキリスト教が75%とのこと。尤もキリスト教伝統宗教の行事が混合しているので、きれいに分けることは難しいのかもしれないが。)

車は市街の中心へ向かい、大きな鉄製の扉の中にある駐車場で止まった。ここがKanto Hotelだ。1階にはレストランやパブが併設されており、大変に賑やか。ガイドはチェックインしてフロントから何個か部屋の鍵を借りてきた。「部屋は早い者勝ちなので、いい部屋を先に確保しておかなければいけませんからね」とのこと。ずいぶんローカルな雰囲気のホテルで、今までの現地の雰囲気を取り入れた欧米風のデザインセンスとは全くかけ離れた、アフリカンな色づかいの派手さと粗雑さがある。だがそれがいい

Kanto Hotelの一室。綺麗とは言えないが、明るい雰囲気

部屋はコテージ風のものとパブの直上にあたる建物の2階があったが、前者はジメジメして蚊が多そうだったので2階にした。午後4時よりマンジャの市街観光をしましょうとガイドに言われ、荷物を置いて、しばし休憩。

ホテルの雰囲気はかつてメキシコのクエツァランで泊まったホテルのようだ。殺虫剤を部屋に撒き、しばし休憩。部屋からは下の階の賑わいが聞こえる。窓の外からは少し傾いた陽射しに照らされて、調理の煙が立つ町並みが見えている。

 

4時になって部屋を出て駐車場に降りるとガイドのJさんが待っていた。

彼と一緒に市場の方へ向かうことにする。

市場は大変ににぎわっているが、日曜日なのでこれでも閉まっている店が多いらしい。パスタなどの出来合いの食事を売る店、豆や米などを売る店、魚を売る店など多種多様だ。中東とも南米とも違う、独特の陽気な音楽が流れているが、多くはShazam等の音楽検索ソフトで検索することのできないものだった。何よりも少し暖色の夕日に照らされた、風情のある市場の町並みと人々の営みが美しい。読者の皆様はこの町を訪れて何を思うだろうか。そこに貧困を見出すか、豊かさを見出すかは皆様次第だ。

風情あるマンジャの市場

ホテルで出される夕食はゼブ牛のステーキに野菜ソテーとフライドポテトの付け合わせ。ゼブ牛のステーキは初めてだった。少し硬さはあるがけっこうおいしい。デザートはオレンジが丸ごと1個出るというワイルドさだが、良いホテルばかりの今回の旅程にあってこちらのようなローカルなスタイルはかえって新鮮さがある。

夜のKanto Hotelとその食堂

この地域に珍しく(?)ヨーロッパ人の女性2人組が食堂にいて、挨拶してきた。ちょうど我々とは真逆の行程らしい。トゥリアラ~ムルンダバの間はドライバー付きレンタカーを雇っているが、ムルンダバからアンタナナリボへはタクシーブルースを利用するらしい。タクシーブルースは結構過酷だと聞いていたが、彼女たち曰くそれなりに快適なものがあるらしい。軽く挨拶をして部屋に戻った。

初めて食べる、ゼブ牛のステーキ

シャワーを浴びる気はあまりなかったのだが、シャワーの取っ手がそもそも外れておりシャワーの出しようがないので水浴びはあきらめて体拭きシートで簡単に体をぬぐうのみとした。まあ登山に夢中になっていた大学生のころは、山小屋に風呂などないのでこういうのは当たり前であったので特に違和感もない。気がついたら1階のパブから響いてくる声も静かになっていた。

明日はしばらく舗装路を南下したのち川をフェリーで渡る。その後マダガスカル西岸の海岸沿いに走り、ムルンベを経由してアンダヴァドアカへ。ムルンベ周囲特有の非常に太いバオバブたちを見に行くという行程だ。