Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

マダガスカル(2) ムルンダバへ

6/28

7時ごろ出発

アンツィラベ→ミアンドリバズ→ムルンダバ

Palissandre Cote Ouest泊

 

 

本日は朝すこし早めに出発し、マダガスカルで一番の観光地、ムルンダバへ向かう。ムルンダバといえばキリンディ保護区やバオバブ並木で有名な土地。さらに、ここを拠点としてツィンギ・ド・ベマラハへの2泊3日ツアーなどが有名だ。今回の旅行ではツィンギは訪れず、キリンディ保護区とバオバブ並木に訪れる。

バンガローの外に出ると、早朝のさわやかな空気。外は明るくなってきており、よく手入れされた庭が朝の柔らかい光に照らされている。

 

昨日と同じ食堂で、朝食を済ませる。紫色の斑点のある不思議なイモが結構おいしかった(あとからガイドに伺ったが、これがキャッサバであるそうだ)。

荷物を整理して何枚か綺麗なお庭の写真を撮り、外に出るとポーターが待ち構えており、荷物を回収され車に乗せられた。昨日の夕食の水代を支払い、ホテルをあとにする。ガイドには「ポーターのチップは我々が出しますが、マダガスカルはチップの習慣がありますので、キリンディなどガイドがつく際にはよろしくお願いします」とのこと。

車はホテルを出て西進する。朝のひんやりした空気の中、朝靄と露におおわれてしっとりした田園風景が美しい。

朝靄に包まれた光景

朝が早かったので、少し寝落ちしてしまった。

再び起きると、集落は時折点在するが、基本的には木の疎らな枯草色の草原に覆われた、穏やかな起伏の続く道が連続している。早朝見ていた景色とは少し変わり、水田は谷間に時々現れる程度になった。しばらくするとトイレ休憩。トイレ休憩と言ってもトイレはない。人口が希薄であることを利用した青空トイレである(笑)。ガイドはここで昼食の予約をしてくれた。ティラピアという魚のフライ、22000アリアリである。付け合わせはご飯と野菜だそう。

時折コブウシが車を引く光景を見ることができる

高原状の台地は終わりをつげ、大きく坂を下っていく。坂の下には大きな川と、川のほとりに集落が見える。そして川の向こうには山脈がある。この集落はミアンドリバズである。ここでお昼休憩。ガイドは「我々は外で待っていますから」といって、一人昼食となった。

ミアンドリバズへ大きく下っていく。遠くに川と山脈が見える

開放的な雰囲気のローカルレストランで、ティラピアのフライは少し土臭さもあるものの基本的には美味で、骨は少し太いが皮ごと食べられる。ご飯の量は少し多い気がするが、ズッキーニを基本とした野菜のグリルも結構おいしかった。

昼食。ティラピアのフライ

ここからはしばらく川にそって走る。道は非常に荒れており、時折集落や水田地帯があるが、個々の集落は高原地帯の集落とは少し様相が違い、基本的には平屋で、土壁もしくは木の枝でできた壁だ。やや単調な景色が続くが、時折大きな川を渡ったりして、川岸で洗濯物を干している光景がみられる。

美しい光景が続く

しばらくなだらかな光景の中をゆくが、アンキリザトという集落までは、路面が荒れたところが多い。アンキリザトを過ぎると、また1つ山をこえる。このあたりから、バオバブが出現しはじめる。この辺りで見られるバオバブの種類はザーという。これは樹形が普通の木に近い大木で、ムルンダバで有名なバオバブ並木のグランディディエリ(ガイドは「レニアラ」と言っていた。呼称が短くタイピングが楽なので、以下レニアラで統一する。これは地元での呼称だろうか)とは異なる。

バオバブ「ザー」が出現

山をこえると道は完全に川沿いを走るようになる。川沿いには緑鮮やかな水田が広がり、その中に集落が点在する。

水田が広がり、時折集落が現れる

時折トイレ休憩を挟みながら西進していくと、ようやく道端にレニアラが現れた。ドライバーはここで車を止めてくれ、ガイドが木を案内してくれた。

 

はじめてみる所謂バオバブの木が。太くて大きく、立派な大木。木の下にはバオバブの花が落ちていたが、おしべがたくさんあり、花弁は目立たない。レニアラはこの季節に花をつける。(今回旅行する範囲で見られるバオバブはザー、レニアラ、そしてフニがある。この季節に花をつけるのはレニアラのみ。フニはこの季節にたくさん実がなっているのが特徴だそうだ。)

大木は鳥のすみかになっている。右はバオバブの花

レニアラが時折そびえる美しい田園地帯をいく。もうすでに日が暮れ始めている。しばらく走ると、もうムルンダバの集落。中央高地とは異なり、いかにもアフリカ系の人々ばかりだが、とてもにぎわっており猥雑な感じや治安が悪そうな雰囲気はそれほどない。アフリカ系の人々の集落は治安が悪いとばかり思っていた、いや思わされていたけれども、そんなものは北米大陸から発信された情報に基づいた偏見なのかもしれないと思った。

夕日に包まれ、バオバブと水田が織りなす美しい景色が続く

町を横切って砂浜の程近くに、Palissandre Cote Ouest、本日のホテルはある。町きっての高級ホテルだそうで、とても雰囲気がよい。海辺のコテージ風のデザインと客室が特徴的だ。ウェルカムドリンクは不思議な緑色をしたミントティーで、夕日の赤に良く映える色だ。昨日と同様チェックイン時に料理のメニューを見て夕食を決める。メインコースは魚と肉の選択肢があり、本日は肉(小鴨)を選択した。残念ながらwi-fiはレストランとエントランスのみだそうだ。

Palissandre Cote Ouestのエントランス

部屋に荷物を置く。いかにもアフリカンなデザインの海辺コテージだが、蚊が多い。殺虫剤(おすだけベープ)をばらまくが、なかなか粘り強い蚊が多い。バス・トイレの部屋を覗いてみると平行に並ぶ床板の隙間からシャワーの水が落ちる仕組みになっており、そこから蚊が入ってくるようだ。バスルームの扉を閉めた。

客室はオリエンタルな雰囲気でまとめられている。天蓋ではなく蚊帳だ

コテージを出ると、ちょうど夕日が海に沈む時間。砂浜に立って海に太陽が没するのをじっと眺めていた。グリーンフラッシュでも見れるかな?と思ったが、残念ながら太陽はオレンジ色を保ったまま海に没した。それにしても、夢中になって日没を眺めたのは何年ぶりだっただろうか。

自然にじっくり向き合う時間が最近あまりなかったように思う

夕食の時間になって食堂で自身の席に着くと、米国人と思われる外国人が現地人のホテルスタッフに「シェフを出せ!」などと文句を言っている。どうやら食材が自分に合わないらしいが、ずいぶん偉そうな態度で、こんな態度は現地人を下に見ていないと決して取れないものだと思う。威圧感に満ちた態度、その背後には差別主義的な考え方が透けて見え、吐き気がするような不愉快さを覚えた。人種差別というのはこの世界で最も愚かな人間がするもので、そのような態度を恥ずかしげもなく表に出すことは自らが極めて愚劣で見下されるべき人間であることを周りにアピールしているようなものだ。大体にしてマダガスカルの人々の慎ましく喜びに満ちた生活を見て自分の考え方の間違いに気づいたりはしないのだろうか。貴方はいったい何のためにこんな遠いアフリカの島国に来ているのですか。

美しいホテルだが、これも植民地主義の一部なのかもしれない

料理は前菜・メイン・デザートからなる。前菜はパイナップルを薄切りにして肉などをのせたサラダで、見たことのない組み合わせがさっぱりとしておいしい。メインのカモ肉の赤ワインソース煮、デザートには梅のような味のするフルーツのシャーベットでこちらも素晴らしかった。

メイン料理

明日は早朝に起床し、ムルンダバの近郊のバオバブ並木で日の出を迎える。その後キリンディ保護区へ向かい、再びバオバブ並木で日没を迎えるという日程だ。