Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

パタゴニア(15) クレカ不正利用事件の顛末

 

この記事では、1/27-2/11の南米旅行期間中、1/28におそらく(白)タクシー乗車時に行われ、今回の旅行を大いに揺るがすことになった、クレジットカード不正利用事件についての詳細と、事の顛末についてをまとめようと思う。

完全な自分のための記録であるが、もしこれからサンティアゴに訪れることがあれば、そしてもし海外でクレジットカードの不正利用に遭遇してしまった方がいらっしゃったら、この記事が参考になれば幸いである。

 

1/28

0850

ユナイテッド航空便がサンティアゴ空港に到着。

0930ごろ

トイレをすませ、コンベアのところで荷物を回収。いつも空港のATMで現金を引き出すようにしていたが、ここにATMがなかった。

ホテルに向かうにはタクシーもしくは公共交通機関を使う必要があるが、今回は他者様のブログを拝読し、シェアタクシー"TransVip"の利用を考えた。このオフィスは空港の人の出入りが制限されるエリアに位置していたが、このオフィスに人がいなかった。他のタクシー予約ブースには人がいたが、タクシーよりも先にATMで現金を手に入れたいと思い、ここのブースの人にATMの場所を聞く。ATMがこのエリアのすぐ外にあることを聞き、エリアを出る。

エリアを出るとATMがあったが、手数料が高い(1300円ほどだったと思う)。流石に躊躇した自分は近くの人に話しかけた。無線を持った空港職員風の男①に話しかけ、市内でのATMなら手数料が安いことを聞く。この男がタクシー(?)を呼び、立体駐車場に案内させられた。

男①は私にどこから来たのか聞いた。日本についてはラーメンが美味しいですよね!チリでも食べられるんですよ。などと言っていた。雰囲気的には善良そうに見える青年であった(実際のところは知らない)。この男からホテルまでは25USD程度であることを知らされる。

白いタクシー(?)に乗り込む。タクシードライバーの男②と男①が値段について打ち合わせ、ホテルまで25USDという。了解し、タクシー(?)は駐車場を出た。車は一旦太い道から外れ、この位置(側道の設けられたところ、Hertz Santiago Airport +56 2 2712 8787
https://goo.gl/maps/Y2ivDRqQPD5s3KsA7)付近で停車。青いクレジットカード端末を持った男③が現れた。現金をあまり使いたくなかったので、まずこのクレジット端末に1枚のカードを挿入し、暗証番号を入力したが、支払いができないとのことであった。一方が使えないというのは比較的よくあることなので、もう1枚のカードも同様に挿入し、暗証番号を入力。こちらも使えず、結局現金で支払い。男③は30USDを要求し、私は①②が25USDと言っていたと主張するが彼は25000CLPは30USDと強弁したため30USD支払った。

 

1/30 

ツアーにてドイツ人の旅行客より、サンティアゴのタクシーで数十万チリペソの不正請求があったという話を聞く。すでに暗証番号を入力してしまったためその金は返ってこないと悲しそうにしていたが、その時は人ごとだと思っていた。

 

1/31

朝、Hotel Cumbres Puerto Varasから空港に向かうため、Uberを使用しようとしたところカードが使えないことに気づく。昨日ドイツ人女性から話を聞いていた私はよもやと思いweb明細を確認したところ、XX万チリペソ(日本円にして二桁万円相当)がそれぞれ別の名前で2回引き出されたのちに、知らない仮想通貨サイトで4回ほど計Y万ほど使用されていることを発見した。この時もう一枚のカードは使用することができたが、すでに暗証番号などの情報が相手に渡っている可能性が高い以上、このカードはweb明細を確認できないタイプのカードであったが、すでに不正利用されているか今後不正利用され使用できなくなる可能性があると考え、この時点で旅行会社に連絡した。

プンタアレナスの空港からホテルへUberを使用したのを最後に、もう一方のカードも使用できなくなった。親族より使えるカード番号を教えてもらい、そちらで国際電話が使用可能なeSIMを購入。日本の営業時間、つまり現地夜9時以降に国際電話で2つの銀行に状況を説明し、カードを止めてもらうようにお願いした。メインで使用していた緑色の銀行のカード会社は2/7の現地時間夜10時以降に審査結果を連絡すると回答があり、もう一方の赤い銀行のカード会社からはやはりXX万チリペソの不審な請求があるとのことで、2/13の日中に審査結果を回答するというとのことであった。

ドイツ人女性のWhatsAppを交換していたため、上記につき相談。PDIに相談するのが良いとのことだったので、PDIを訪問。スタッフより、このカードはinternationalなもので我々に管轄権がないから、Carabineirosに行って被害届を出すこと、そしてPolicia de Investigaciones de Chileで滞在証明書を取得するように言われる。

Carabineirosで被害届を出し、ポリスレポートを取得。Policia- は昼の13時までしか開いていないため、明日訪れるようにとのことだった。

 

2/1

昼11時ごろ、Policia- にて滞在証明書を取得。この証明書には各カードのカード会社名が記載された。

 

今回はカード不正利用に絞ってまとめた記事なので、ホテル手配とかの話は別記事を参照されたい。

 

2/9

緑の銀行のカードからの連絡がまだ来ていないことを不思議に思い始める。

 

2/13

すでに日本に帰国している。赤い銀行のカードより、XX万チリペソ分の請求について調査するため、当該請求を請求書から削除するとの連絡。カード会社はすでに2024年になってからサンティアゴで同様の不正利用が多発していることを把握しており、それぞれの請求は全て職業や名前がバラバラで明らかに不審であることを知らされた。私がどのように被害にあったのかも詳しく聞かれた。調査のために現地警察からもらった書類をメールで提出するようにとのことであった。

緑の銀行のカードから一向に連絡が来ないため不審に思い、連絡したところ2/7に確かに審査結果をSMSで連絡しようとしたがSMSの送信に失敗した記録が残っている旨を知らされ、2−3営業日以内に連絡すると回答あり。

 

2/16

夕方ごろになっても回答が来ないため、再び緑の銀行のカード会社に連絡し、すでに報告から2週間以上経過しており対応があまりに遅いことに苦言を呈すると、すぐに当該部署より連絡するとの回答を得た。17時半ごろに電話で女性④から連絡があり、Y万円の方は補償できるが、XX万ペソ×2の方はすでに暗証番号が入力されており補償の対象外と言われる。赤い銀行のカード会社よりすでに事情を聞いていたため、こちらのカード会社にもどのような被害にあったのかを説明し、同じ請求者であったはずなのに2回、違う名前で請求が来ること自体がおかしいのではないか、他のカード会社からは同時期に同地域で不正利用が多発しているとの情報を得ているのだからそういう情報は必ずあるはずで、きちんとした調査をお願いしたい旨を強く申し出た。どういうわけか同じ部署の違う人⑤から電話があり、同じことを説明させられた。この間に1回目の人の電話が着信したが出ることができず、留守電には現地警察で取得した書類について聞きたいとのメッセージが残されていた。

 

2/20

朝ごろよりSMSにて、緑のカード会社より不正と思われたXX万ペソ×2の請求を含む計6項目の不正利用申請を確認する旨のメッセージが届く。全ての項目に不正利用の印をつけて返信。夕方ごろに電話で⑤の人物から電話があり、やはり不正利用であること、これから補償申請の書類を送るので用紙に押印・記入し、警察の書類(すなわちポリスレポート)を添付して返送するように連絡あり。なお、このポリスレポートは写しで良いとのこと。

 

2/22

緑のカード会社より補償申請の用紙と封筒が届く。記入し、書類を添付の上返送。

 

***

 

以上が事の顛末である。

結局全額が保障されることになったようだが、一番肝要であったのがCarabineirosにおける被害届(ポリスレポート)の取得であった。これがなければ今回の不正利用に対する補償請求が通らなかった可能性が否定できない。

一般的に、暗証番号を入力した取引は対面のものとみなされ、補償の対象外となることが多いらしい。おそらく今回の不正利用は、そのルールを熟知した人間によってなされたもので、おそらく、というかどう考えても組織的なものである。同じ人が名前を変えて2回請求していることから、システムを何らかの形でハッキングしているのだろうと思われる。

 

反省点としては、空港で現金を手に入れようとするのは時に危ないということ(これはブラジルの話だが、ブラジル・サンパウロの空港ではATMにスキミング機が仕込まれており、被害に遭った人が多いという話だ)、カードは限度額が低いもののみ使用すること、そして1回カードが使えなかった場合は次のカードを使うのではなく現金で支払った方が安全であるということだ。特に今回の旅行では電子的な決済に頼ることの危なさ、現金の頼もしさを再認識した。

 

以前の記事にも書いたように、そもそもそのタクシーを利用してしまったのが原因なのは間違いないわけで、それを利用しない手立てはあったのではないかと思わなくもないが、やはり長いフライトで疲れて判断力がやや低下していたこと、国や空港によってATMやタクシーブースの場所が違うこと、そして呼び子と金銭徴収人を分ける巧みかつ組織的な犯行が疑われることから、今回の事象を避けるのは困難だったようにも思う。さらにサンティアゴの空港からはUberを使うことはできないことになっている。

 

海外旅行で主要なトラブルは今回含め2回あったのだが、実を言うとどちらも初日の空港とその周囲でトラブルが起きている。トラブルに巻き込まれる確率自体は低いのだが、トラブルが起きるのは100%初日の空港到着時〜市街移動までということになる。初日の到着時は長いフライトの後で特に判断力が鈍りがちで、さらにその国にも慣れていないこと、さらにそういった人をカモにする連中が手ぐすねを引いて待っていることが、トラブルに遭遇する原因ではないかと思う。一番安全なのは、初日の空港から市街への移動には、GetYourGuideや旅行会社などから送迎車を手配しておくことであり、それが結果的に安上がりなのではないかと思う。やはり君子は危うきに近寄らないことである。そもそも海外旅行自体が危うきという向きもあるかもしれないが、個人的に海外は虎子を得るための虎穴である。

 

なお、今回の一件では赤いカード会社の対応は(Web明細がないこと含めアナログを感じる対応ではあったが)緑のカード会社よりはるかに優れていたことは、ここに明記しておく。緑のカード会社は問い合わせに対する回答に時間がかかった上に、その初回の回答は赤いカード会社と比べて明らかに少ない(不正利用関係の)情報しか把握していないこと、丁寧な調査を行わずおざなりの対応をしていることがありありと伝わってくるものだった。多くの顧客を抱えており忙しいのかもしれないが、そもそも赤い銀行のカードには年会費を払っていない一方で緑の銀行のカード会社には年会費をそれなりの値段を払っていたのだから、サービス品質の向上を強く希望したい。