Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

アゾレス諸島(2) サンミゲル島②フルナスへ

2023/6/24

天候:晴れ

終日サンミゲル島観光

島西部のフルナス、北部のGorreana tea factoryへ

 

Casa do Campo de São Francisco泊

 

本日は終日サンミゲル島観光である。

美しいカルデラ湖セッテ・シダーデスは明日に回し、本日はポンタ・デルガダから30㎞程度あるフルナスや北部にあるヨーロッパ唯一の茶畑をレンタバイクにてめぐる。

朝食は2階の食堂で。朝のやわらかな日差しのあたる食堂は、白壁と木のあたたかみがアットホームな空気を醸し出している。昼ごはんにありつけないかもしれないので、少し多めに朝食を摂っておくことにした。

レンタバイクは10時から借りる予定となっていたため、町並み散歩に出かけることにする。朝の町並みは人が少なく、空気も澄んでおり美しい。マリーナも人が少なく、雲の流れが速く景色も刻一刻と変わっていく。

朝の美しいポンタ・デルガダの町並み

宿から徒歩5分ほどのところにレンタカーオフィスがある、ARレンタカーに行ってみると混みあっていた。予約をしてあるはずなので、スタッフに「予約をしてあるはずなのですが」と話しかけると、奥で待っていた黒いハーフパンツの横柄そうな欧米人が「我々が待っているのに先に話しかけるのはpoliteではない」などと偉そうな物言いをしてくるので、とりあえず謝罪をしてやって、スタッフには「彼が先に待っていたらしいので、彼に話しかけてやってください」と言っておいたところ、私が先に受付に通された。どうやら彼は予約をしていなかったらしい。スタッフにとってもあまりに横柄な態度が気に入らなかったのか、アジア人を下に見ているのかなんだか知らんしそんなことに興味はない(なぜならこういう人種は欧米人に限らずどこにでも一定割合で存在するからだ)が、あまりに高慢なふるまいは自身の破滅を招くだけである。彼はその報いを受けたということであり、嘲笑を禁じ得ない。

レンタルスクーターを借りるレンタカーオフィス

レンタバイク(といってもスクーターである)は35€。なお、宿の人がちゃんと予約を入れたはずであるのに、予約は結局見つからなかったらしい。おいおい。150€分の保険として15€を払い、計50€で1日(24時間)借りることになった。キツネ様顔貌のがめつそうなオッサンが横から話しかけてきて、明日の12時まで借りたいのだがダメかと聞くと、だめだ11時までだなどと口うるさい。別の寛容そうなスタッフに話しかけて翌日12時まで、1時間だけ伸ばしてもらった。「Enjoy your additional 1 hour!」だそうである。本当にありがとうございます!スクーターの使い方はほぼ日本と同じだが、最高時速は100㎞くらい出るらしい。右側通行であることには注意する必要がある。

さて出発である。いざ30㎞離れたフルナスへ。途中で給油してから高速道路のような無料の高規格道路に入る。最高時速100㎞で車はガンガン飛ばしていくのだが、さすがに半袖にヘルメットという無防備な恰好で時速100㎞をやるのは無理が過ぎる。時速60㎞くらいで勘弁してもらう。30分ほどで高規格道路は終わり、山の中のワインディングロードへ。峠を一つ越えると道が石畳となり、すぐに湖が表れる。フルナス湖である。

フルナス湖

この湖のほとりには島有数の地熱地帯があり、ここに入るのに駐車代3€を支払う。地熱地帯にはこの地域特有の料理、コジードゥという地熱の蒸気で鶏肉や野菜を蒸し焼きにした料理を行う窯が設置されている。地熱地帯の奥の方には粘度の高い灰色の泥からボコボコと蒸気が勢いよく湧き出ているところがあり、これはまるで別府の鬼石坊主地獄のような趣である。

左:鬼石坊主地獄のような場所も 右:コジードゥで調理を行う地元の人

ジードゥは硫黄分を含む蒸気で蒸された料理で独特の臭気があるようだが、スクーターの駐車場所にやや困っていたのと、この時点ですでに13時を回っておりあまり時間がない(とその時は思った)ので、ここでの昼食はパスすることにした。次にはフルナスの市街地へ。Terra Nostra Gardenへ向かう。入場料10€。ここは褐色の温泉がみどころであるが、庭園も見事。しかしながらまだ回るべきところがいくらかあるので、温泉にはつからずにさらっと庭園を回ることにする。温泉と言ってもここはヨーロッパ、まるで天然の温水プールのようで趣はあまりない。庭園にはヘゴがたくさん生えており、この地域の温暖さが一目瞭然である。

庭園にはヘゴやシダが生い茂っている

さて、次はヨーロッパ唯一の茶畑が広がるという島の北部にバイクを走らせることにしよう。途中の展望台ではフルナスの町並みがよく見える。この展望台ではドイツ人のカップルに出会った。アゾレス諸島はヨーロッパ系では特にドイツ人の観光客が多いようである。

景色をしばし堪能したのち、カルデラをこえる。道の両側にアジサイが咲き乱れる素晴らしい道を行くが、ドライブしながら写真を撮ることがなかなかできないのが残念である。20分ほど下り基調の道を行くと、Cha Gorreanaの工場と茶畑に到着する。ここでは工場の見学ができるほか、併設のカフェでは無料で茶を頂くことができる。太っ腹である。名産品のパッションフルーツが入ったケーキをいただくことにした。

茶の製造工場では、茶を製造する機械がアナログな動きを見せていた
景色の良いカフェ。ケーキを買ってお茶と一緒に頂く

工場の周辺に広がる茶畑

ここからはバイクで40分ほど走り、市街に戻る。

島北部は南部と比べると地形が穏やかで畑が多い。何個か展望台があったが、そこでは牧歌的な風景が広がっていた。

ほどなくして高規格道路に戻り、ポンタ・デルガダの市街へ。
市街の中では昨日観光し逃していた教会が何件かあり、こちらを回ってみることに。まずは島北部にある教会へ。こちらはIgreja de Todos os Santosという教会で、博物館となっている。入場料は2€。1階の聖堂は木とゴールドを基調とした意匠で、神社仏閣を思わせる雰囲気が特徴的である。

アズレージョも美しい

2階の博物館はサンミゲル島の成り立ちや火山、自然などについて解説するコーナーとなっていたが、残念ながらポルトガル語のみであった。

他にはIgreja Matriz de Sao Sebastiaoという教会があり、こちらは市街の中心に面しており大きな規模である。中の雰囲気は白やグレーを基調として金で装飾されて大変立派であるそうだが、自分の滞在期間中はなぜか閉まっており、ここに訪れることはできなかった。

16時ごろであるが日差しが強い。強い日差しの下では家並みの白と黒のコントラストがより強調され、美しさが際立っていた。

さて、本日の夕食も昨日と同じO PataNiscaへ。

今回は血のソーセージ(Morcela、7€弱)とバカリャウの定食(9.5€)を選択した。長いドライブでのどが渇いていたので今回は水を注文。バカリャウの定食はサラダもついており値段の割にとても量が多く、昼ごはんがケーキのみであったすきっ腹には乾いた大地に降る雨のように染み渡った。血のソーセージは独特の風味があるが決して悪くない。しかしながら量が多く、少し残してしまった。店員には「あまり気に入らなかったですか?」と聞かれた。べつにそうではないのだが、「初めて食べたので…」などと適当にあしらっておいた。腕がヒリヒリ痛い。おかしいな、日焼け止めを塗ったはずなのだが、どうやらちゃんと日焼け止めがいきわたっていなかった部分が見事に焼けてしまったようだ。

本日の夕食

本日は余力があればセッテ・シダーデスに向かおうと思っていたものの、慣れない右側通行や高規格道路の走行で大変に疲れてクタクタになってしまったので、21時ごろにはさっさと就寝することにした。明日行くことにしよう。その日の体調や気分で行き先を柔軟に変えられるのは、決まった予定の少ない旅行のメリットでもある。