Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

アゾレス諸島(7) テルセイラ島①世界遺産の町並み

2023/6/29

天気:くもり時々晴れ、強風(フローレス島)、晴れ時々曇り(テルセイラ島)

8:50 Aldeia da Cuadaをタクシーにて出発 空港へ

SP0801 1030FLW 1135TER テルセイラ島到着

バスにてアングラ・ド・エロイスモへ

 

Hotel Cruzeiro泊

 

本日は午前中にフローレス島を出発して、アングラ・ド・エロイスモを擁するテルセイラ島に向かう。

テルセイラ島は元来2日の滞在予定であったが、先日のブログでも書いた通りフローレス島の日程をひねり出すために1日短縮し、1泊2日の滞在とした。まあほかの島で火山性の地形はたっぷり堪能している以上、どうせアングラ・ド・エロイスモくらいしか見るところはないので1日くらい削っても問題はないだろうという認識である。

昨日はあいにく晴天に恵まれなかったので、本日こそは晴れた景色を望めるのではないかと淡い期待を抱いて早朝に起床したが外を見ると昨日よりも雲が厚い。これは残念。朝食の時間ギリギリまでゆっくりすることにした。

フロント横にある食堂へ。

朝食は選択肢がそれほど多くはないものの、フルーツジュースなどちょっと凝っていて面白い。

伝統的で趣のある建物、美しく手入れされた花の咲き乱れる空間。天気には恵まれなかったものの、滞在自体は素敵な時間が過ごせてすばらしいものであったのでもう少しここでゆっくりしたい気持ちもある。チェックアウト時に「ここの庭は本当に素敵ですね!」と言ったら「私もそう思います!あ、ほかの人には言わないでね(笑)」と返答していてとても面白かった。おすすめの季節は私の訪れた6月末から7月、そして9月は少し花も少なくなるが、人も少ないのでおすすめということだそう。チェックアウトし、8時50分に予約しておいたタクシーに乗り込んだ。

本日のタクシーもFreitas氏である。彼は「フローレス島は天気が変わりやすいので、今度来る機会があったら4日くらい滞在することをお勧めするよ。もし機会があったらカルデラの美しいコルヴォ島にも行ってほしい。まあ日帰りでこの島を回る観光客もいるみたいだけどね。」と言っていた。

本日天気が良ければ昨日行けなかったLagoa Rasa e Fundaに行ってくれると言っていたものの、本日は昨日よりさらに雲が厚く、残念ながらあきらめざるを得なかった。今度機会があったら、ぜひリベンジしたいものだ。その際コルヴォ島にも訪れてみたい。なお彼は話の途中でなぜか中〇人の批判を始めたのがとても面白かった。

空港で彼にお礼し、25€払って彼と別れる(空港からAldeia da Cuadaへは大体25€程度らしい。複数のドライバーに聞いてみたが、この値段だった)。

さて、空港へ。フローレス島の空港はとても小さく、ファイアル島のそれと同様、ローカル色が強い。フローレス島からの便はたいていがオルタもしくはポンタ・デルガダ行きのもので、テルセイラ島への便は隔日に1便しかない。飛行機は今までの島間便のものよりも一回り大きく、プロペラも4枚ではなく6枚のものだった。

飛行機は離陸し、テルセイラ島へ。

正直言うと風が非常に強かったので飛行機がキャンセルになる可能性も念頭にはおいていたが、予定通りの離陸となったので一安心である。プロペラにカメラを向けると、カメラのリフレッシュレートとプロペラの回転数がほぼ倍数だったのか、プロペラが止まっているようにみえたのが面白かった。

40分くらいすると次第に高度を下げていき、テルセイラ島の空港へ。

この空港はポンタ・デルガダよりも規模が大きく、かなり立派である。

立派なテルセイラ島の空港

観光案内のインフォメーションでは空港からアングラ・ド・エロイスモに向かうバスの時刻表をゲットした。おおむね1時間に1本程度の運行と、本数もまずまずであてになりそうだ。空港前のバス停でバスを待つが、時刻表から20分ほど遅れてバスがやってきた。アングラ・ド・エロイスモまでは4.28€とかなり中途半端な値段。

途中古い町並みや紫陽花で縁取られた道など、ところどころですばらしい景色が現れた。

紫陽花に縁取られた道をバスはいく

1時間ほどしてアングラ・ド・エロイスモの市街地をぐるぐる回ったのち、バスターミナルに到着した。

アングラ・ド・エロイスモのバスターミナル

アングラ・ド・エロイスモのバスターミナルも少し規模が大きい。市街地のメインストリートにも装飾が施されており、ポンタ・デルガダより交通量も人も多い。自然が圧倒的に優勢であったフローレス島と比較するとだいぶ都会に来たなあという印象がある。日差しが強く、非常に暑い。参考に読んだホームページではメインストリート以外は人はまばらと書いてあったのだが、数年のうちに人気観光地になったのだろうか。

都会的な雰囲気のアングラ・ド・エロイスモ

石畳の道でゴロゴロとスーツケースを転がしながら、本日の宿、Hotel Cruzeiroへ向かう。日差しの強い道のアップダウンを何個かこえて上り坂を登りきるとHotel Cruzeiroに到着、13時ごろにはチェックインして少し休むことにした。

Hotel Cruzeiroは比較的新しく、フロントや客室のあるフロアの廊下は緑色のライトで照らされておりかなり奇抜な印象があるものの、客室自体はきわめてまっとうなホテルである。

廊下の緑色の照明は奇抜だが、客室は普通

少し体を休めて日焼け止めを塗り直し、市街への散歩に出かける。まずはホテルの裏手にある展望台のObelisco do Alto da Memoriaへ。ホテル自体が丘の上にあり、道のりはそれほど大変には感じない。オベリスクは独特の形状をしており、展望台からはオレンジ色の屋根と白壁のアングラ・ド・エロイスモ市街が美しく見える。市街にはこれほど観光客がいるのに、ここの展望台は観光客はまばらで、静かに景色を楽しむことができる。

オベリスクのある展望台

ブラジル山とアングラ・ド・エロイスモ市街が美しく見える

しばし景色を楽しんだのち、植物園へ通じる道を下っていく。植物園は市民の憩いの場であり、ゆっくりと時間を楽しんでいた。

植物園へ下っていく

植物園を通り抜け、隣接した教会へ向かう。こちらはアングラ・ド・エロイスモ博物館となっているが、教会や修道院の規模はほかの島のそれと比べると一段と大きく、教会の装飾やアズレージョは大変立派で威厳があり、往時の繁栄ぶりが偲ばれる。

アングラ・ド・エロイスモ博物館

威厳ある雰囲気の聖堂

修道院の方は博物館となっており、こちらもかなり大きい規模でアングラ・ド・エロイスモの歴史に関する展示がされているものの、あまり博物館でじっとしていられないタイプの人間なのでさっさと見てお開きにしてしまった。しかし2€でこのクオリティはすごいと思う。
植物園からは下り坂を下ると、市庁舎の古く立派な建物とその前の広場に出る。市庁舎前にはステージが設置されている。6月22日から7月2日まではどうやらお祭りの週間らしい。どうりで人出や観光客がおおいわけだ。納得。

周辺の路地では町並みが美しい。白と黒のモノトーンで統一されたポンタデルガダとは趣が異なり、様々な色で塗られた家々がカラフルな町並みを形作っており、メキシコのような趣がある。ヴァスコ・ダ・ガマ銅像があるIgreja da Misericordiaの前では屋台が店を広げていて、彼の像は並ぶパラソルや椅子の中に存在を主張することなく埋もれており、もはや一市民のようである。

次に市街の中でひときわ大きな1対の塔楼を備えた教会、アングラ・ド・エロイスモ教会へ向かう。こちらは正面ではなく横に入口がある。入場料は2€だが、入口のおにいさんが1€にまけてくれた。こちらも博物館になっている先ほどの教会に負けず劣らず大きな規模で圧倒される。

アングラ・ド・エロイスモ教会もまた規模が大きい

ここから1㎞ほど歩くと、ブラジル山展望台に到達する。暑くて湿度が高いので、上り坂が意外ときつく感じる。観光バスがちらほらと到着しており、オベリスクのある展望台よりにぎわっていた。

モンテ・ブラジル展望台

ここでしばらく景色を楽しんだのち、夕食へ。

昼食時にちょうど移動の時間と重なり昼食をまともに食べていなかったので大変な空腹だ。本日はGoogle mapで評価の高かったCaptain’s Tableへ。英語はたいしてうまくないが話し上手な青年の店員が「本日は魚がおすすめで、シマアジが入ってます。ごはんとサラダと一緒に出します。いかがですか」という。ちょうどおなかがすいていたのでこちらとデザート、そしてパッションフルーツジュースをいただくことにした。これで20€弱。なかなか良心的な価格設定。魚もとてもおいしかった。食後にミニコーヒーを押し売りされたが、たったの0.5€程度だったので文句を言うのはやめた。まあいいお店だと思う。Google mapの星の数やレビューはけっこうあてになるのでありがたい。

Captain's Tableで本日の夕食。魚のグリルは大変おいしかった

夕食を楽しんだのち、町並み散歩しつつホテルに戻る。市庁舎のある広場ではお祭りが始まろうとしていた。

お祭りが始まろうとしていた

ホテルへの帰途には旅行会社のオフィスがあり、メキシコやモロッコなどのパンフレットが窓に貼ってあったりして、ほうほうポルトガルの人はこういうところに旅行に行くのか、と一人で感心していた。ホテルに帰り、就寝。

明日はいよいよアゾレス諸島を去り、ポルトガル本土へ向かう。長かった日程もすでに終盤である。