Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

パタゴニア(10) パイネ国立公園

2/5

0630-2100ごろ

終日パイネ国立公園ツアー

Hosteria Miyazato Inn泊

 

本日は早朝から出発し、国境を再び渡ってチリに入国。パイネ国立公園を観光し戻ってくるという長丁場のツアーである。GetYourGuideとベルトラに同じ会社からツアーが出ており、GetYourGuideの方が格安だったが2月の応募欄が空白となっていたため、やや割高ではあったがベルトラの方から予約した。

エルカラファテから1日のツアーで行ける場所としては代表的なペリトモレノ氷河やその周辺の氷河以外にはフィッツロイ周辺のトレッキング、そしてパイネ国立公園がある。パイネ国立公園はどちらかというとチリ側のプエルト・ナタレスから観光するのがメインであるが、エルカラファテからのツアーも少数出ている。フィッツロイのトレッキングとパイネ国立公園で迷ったが、パイネ国立公園の景観はフィッツロイの強化版だろうなどと適当な事を考え、パイネ国立公園ツアーを選択した。

 

ミヤザトインでは6時20分ごろに簡単な朝食を出してくれた。6時半ちょうどにピックアップの車が迎えに来る。市街から離れたホテルで何組かをピックアップしたのち、メインのツアーバスに合流した。ツアーバスと言ってもベンツマークのついたゴツい悪路用のバスである。

まず本日のツアーの概略をば。

最初にエスペランサという町にてトイレ休憩。その後アルゼンチンの出国、チリの入国手続きがある。この入国手続きには時間がかかることが多いため、なるべくトイレ休憩は短くしたい、ご協力お願いしますとのこと。入国後パイネ国立公園に入り、ランチ。国立公園内をバスで周遊しつつトレッキングコースを歩く。時間に余裕があれば2個のトレッキングコースを歩くこともできるようだが、入国に時間がかかり1個になってしまうことが多いという。パイネ国立公園観光後、再びチリの出国、アルゼンチンの入国があり、再度エスペランサにてトイレ休憩ののち、エルカラファテに帰還するという、かなり長丁場の旅である。

砂漠の中をひたすらバスは走る。悪路用のバスは振動をダイレクトに伝えてきて、乗り心地はお世辞にも快適とは言えない。朝日に照らされた砂漠には時折野生のグアナコが群れをなして現れる。

砂漠にグアナコが現れる

1時間半ほど走るとエスペランサに到着し、しばしトイレ休憩となる。

時折牧場がある

バスは再び出発。ここから1時間ほど走ると次第にアンデスの山々が近づいてきて、アルゼンチン側、ついでチリ側出入国管理ゲート。本日は奇跡的にアルゼンチン側、チリ側ほとんど待ち時間なく通過。チリでは再びPDIの紙をもらい、税関の紙もしくはネットで得られるフォームを提示する。簡単な荷物検査の後、チリに入国。

チリに入国するとすぐにみやげ物屋がある。左は今回のツアーバス

山々が近づいてきて、遠くにパイネ国立公園の象徴、鋸の歯のように聳える岩峰が遠くに見えるようになってきた。ここでしばしバスはフォトストップ。

パイネとかパタゴニアとか、この地域の地名はよく登山アパレルのメーカーの名前に採用されている。そのうちパイネといえば石井スポーツのオリジナルブランドとして有名だが、そのパイネ国立公園の象徴である山々が今、目の前に広がっている。うーん、なかなか感慨深い。このあたりは道路の舗装工事を行っているそうだが、工事のペースは一日1メートルという亀のようなスピードで行われているらしい。

パイネ国立公園の印象的な山塊が現れた

バスは次第に山々の襞の中に入っていき、Amarga湖という湖の辺りでランチ休憩となった。お弁当はサンドイッチ2個とジュース、ペットボトルの水とベーコン入りのパン、お菓子など、量としては十分すぎるほどである。風がおさまると湖に反射した逆さパイネが映し出され、美しい。

Amarga湖に映し出されるトーレス・デル・パイネの山々

お昼休憩が終了し、湖のほとりの道路を走っていく。湖の辺りではグアナコが見られた。これは湖に含まれるミネラルを摂取しにきているそうだ。

ミネラルを摂取しに来るグアナコ

バスは次第にワインディングロードを走っていくようになり、ところどころに絶景が現れる。しばらくしてパイネ国立公園入り口へ。

ここで昨日オンライン購入した国立公園チケットの確認が行われた。本日は出入国が非常にスムーズだったため時間に余裕があり、2つのトレッキングコースを歩くことができるという。

パイネ国立公園入口

何ヶ所かフォトストップがあり、素晴らしい写真を撮影することができた。トーレス・デル・パイネは上の方が黒っぽく、下の方は灰色になっている。これは上層部が堆積岩、下の方が花崗岩でできているから、ということだそうだ。あまりに現実離れした絶景が続き、次第に自分の中で美しさの閾値がバグってきたのを感じる。

 

最初のトレッキングコースでは、氷河湖から流れ落ちる滝が見られる。この一帯はいつ頃噴出したものなのかはわからないが玄武岩に覆われており、あたりの地面は黒っぽい。ところどころに溶岩の層が露出しているところがあり、ここはかつて溶岩台地であったのかもしれない。しばらく歩くと、きれいな青緑色の水が轟音を立てて流れ落ちる滝が現れた。落差は決して大きくないが水量は豊富で、迫力のある滝だ。

牛の角のような山々

もと来た道を戻り、バスへ。次はペオエ湖のほとりへ向かう。

ペオエ湖にはパイネ国立公園内で初めて作られたホテルが湖の中の島の上にあり有名だそうだ。ペオエ湖の辺りでバスは停車し、ここで再びトレッキング開始。

 

背の高い枯草の中をつけられた道を歩いていく。小高い丘の頂上へ登ると、よくパイネ国立公園ツアーの写真として宣伝されるような、青緑色の湖の向こうに荒々しい山々が並ぶ景色が現れた。

少し雲が増えてきてしまったため写真としては微妙な感じもするが、それでも素晴らしい景色である。ガイドの「今日は素晴らしい景色ですよ!」というのが本当なのか、それとも観光客を楽しませるためのリップサービスなのかどうかはわからないが、それでも次々と現れる素晴らしい景色に大満足であった。せっかくなのでトレッキングガイドに写真撮影をお願いしたが、「1枚10ドルな!」と冗談をいってバシャバシャと写真を撮ってくれた。写真撮影は素早く、なおかつ良い構図の美しい写真を撮ってくれた。

湖に太陽光が差し、美しいターコイズブルーに輝いた

再びバスに乗り込み、帰途に着く。

帰りの出入国ではアルゼンチン側がやや混雑しており、抜けるのに30分ほどかかった。エスペランサで再びトイレ休憩し、2時間弱でようやく、エル・カラファテの市街に帰還した。時間は21時ごろになっていた。

ホテルに一旦戻り、夕食を食べることにした。ARPの持ち金があまりないため、USDが使えて深夜まで営業しているお店をミヤザトインの女将に聞いたところ、ミヤザトインから徒歩数分のところにある、湖のほとりの"La Cantina"という店を教えてくれた。

La Cantinaはいわゆる飲み屋的な雰囲気で、やや雑然とした感じだが、店員のお姉さんの対応は良い。ハンバーガーとビールを注文したが、ハンバーガーは正直それほど美味というわけではなかった。ハンバーガーとしてはプエルト・バラスのPuelche Restaurantで食べたハンバーガーの方が肉も具もジューシーでずっと美味しかったと思う。まあ、店員の感じは悪くなかったし、USDでお釣りが出るように払ってARPを10枚ほど手に入れたのでよしとしよう。

遅夕食

店を出るとなんと雨が降っていた。もともと風が強い地域なので雨が降ると暴風雨のようになる。雨脚が弱まった時宜を見計らって、そそくさとホテルに戻った。乾燥したアルゼンチン側パタゴニアにもまとまった雨が降ることがあるんだなと妙に感心した。長いツアーでクタクタになったので、この日は吸い込まれるように寝た。

明日は飛行機を乗り継ぎ、プエルトイグアスへ。風と氷の大地から亜熱帯へ一気に向かう。波乱に富んだ旅もいよいよ終盤である。