Le Chèvrefeuille

世界は遊覧、思い出の場所であり、われらは去りゆく者

パキスタン(1) イスラマバードへ

4/26

成田発

TG643 1200NRT 1630BKK バンコク

TG349 1900BKK 2210ISB イスラマバード

イスラマバード到着、ガイドと合流

Margala Hotel

 

さて、パキスタンを、この旅行を語るに、いったい何から始めればいいのか。

北部の美しさ?南部の暑さと汚さ?めちゃくちゃに詰め込まれた旅程?体調の悪さ?ガイドへの失望、それとも私自身への失望?

書きたいことはたくさんあるのだが、これでは総括と大して内容が変わらなくなってしまう。時系列に淡々と、記録を書き連ねていくことにしよう。

少なくともこの旅行は当初本当に楽しみにしていたはずだったのだから。なかなか訪れられない国、偉大なる自然と文化の遺産。どれをとっても素晴らしかったはずで、当初の期待値は本当に高かった(なぜこうなってしまったのか)。そういう前提で今回の一連の記録を読んでくだされば幸いである。

 

 

 

タイ航空TG643便は、成田空港第1ターミナルからの出発だった。

成田空港はターミナルが2つあるが、第二ターミナルは施設が小さく、お店も少なくコンビニもないため使い勝手が悪い。第1ターミナルは使い勝手が良くコンビニもある。(どういうわけか羽田空港は荷物検査後の空間にコンビニがなく、水や軽食もかなり割高。)そういうわけで第1ターミナルで良かったと思う。パキスタンは未知の国だが、その経由地となるバンコクも未知の場所。

2時間弱待って、飛行機に乗り込む。

タイ航空の飛行機は、白地にパープルを基調とした上品な雰囲気。南国風の爽やかな音楽が流れている。タイ語の挨拶がわからないが、クルーの雰囲気も上々。エコノミークラスの席はやや手狭だが。

落ち着いた雰囲気のエコノミークラス

席に座って出発を待つと、タイの人と思しき人に対して「道をあけてくれよ!」と怒鳴る、段ボールを持った日本人の壮年男性。この人の他国の人間を露骨に軽蔑するような態度には心底驚いた。今まで東南アジアに行ったことはなかったのだが、確かに乗り込む日本人は全体的に(こう言っちゃ申し訳ないが)若干品性に欠けるように思う。いや、この一件がそう思わせただけなのかもしれないが。

こんな露骨な差別的言動を披露するオッサンは本当に日本の恥のようで腹が立つしタイの人々には申し訳ないが、これがこの世代の人々の世界の認識なのだろう。世界を序列化して見ており、欧米を崇拝し媚びへつらい、東南アジアの人々は下に見て足蹴にする。ああなんと醜い態度であることか。そんな日本もGDPは5位への転落が確実となり、一人当たりGDPOECDでも下位クラスである。東南アジアを自分たちより下に見て見下すこういう傲慢な態度こそが日本の凋落を招いたのではないかと思わずにはいられない。こういう男は上司や欧米人の前では大して外国語など話せず意思表示もできず、ただただオドオドして媚びへつらうような卑しい男に違いない。まあそれが私の妄想であることを祈る。

飛行機が出発する時に見せられる動画はまるでタイの熱帯の自然を表すような綺麗な色合いのもので、映画調に仕立てられたユナイテッド航空のそれに比べると手は混んでいないものの好印象だった。飛行機はは6時間ほどで、バンコクに到着。心なしか蒸し暑い。

スワンナプーム国際空港

バンコクで乗り換え。乗り換え窓口がわからずにしばし迷うが、パキスタン人風の男2人組が通りかかったので声をかけてみたところ本当にパキスタン人であったので、乗り換え口について聞いてみる。流暢に日本語を話す男性で、乗り換えは荷物検査のみの簡素なもので、すぐに終了した。途中で水を購入しようと思いEvianの値札を見たら日本円で300円くらいしたので、ああついに日本はタイよりも物価が安くなってしまったのか…と思ったが、タイの水は1本70円くらいだった。しかしこの調子で凋落が進むと、日本はいつタイに追い越されるかわかったものではない。

 

イスラマバード行きの飛行機が出発するゲートへ向かう。

すでにいかにもパキスタン人の風貌の人ばかりが集まっており異物を見るような目で眺められたが、先ほど会った2人もいた。一人は日本の在住が長く、エンジニアをやっているらしい。毛一人はTikTokで有名なインフルエンサーらしく、ペシャーワル在住。エンジニアの男性よりも色が白く欧米風だ。とても親切にしてもらい、タイの謎ジュースをもらってしまった。ジュースはオレンジやパイナップルにジンジャーを混ぜたような、不思議な味がした(今から考えると、これ自体が今回の旅行のすべてだった感があるというか、なんだか現代文の問題で下線が引かれそうな一節である)。エンジニアの方は帰りはラホール発だそうで、日にちも同じだというので、出会ったらよろしくお願いしますとあいさつ。

日本人旅行客のおじさんもいたので、話しかけてみる。すでにパキスタンには3回行っており、今回は4回目とのこと。スカルドゥの方面を訪れたり、ウイグルからクンジュラブ峠をこえたり。カシミール地方に魅せられているそうだ。今回はペシャーワルから奥地に入った北部諸民族州に行き、アレキサンダー大王の末裔に会いに行くらしい。

飛行機に乗り込む。

イスラマバード行き

バンコクからイスラマバードへは5時間。バンコクからミャンマーを出るまで2時間ほどかかったので、本当に5時間で着くのかと思ったが、インド亜大陸に入ってからが早く、ほぼ定刻通りにイスラマバードへ到着した。

機内食もおいしかった

イスラマバードというのはニュースで耳にするときは大抵爆発など不穏なニュースばかり。緊張感とワクワク感がみなぎる。パキスタンということで身構えていたが、入国審査はビザを見せると、案外すんなりと通過した。無事荷物を回収し、空港を出る。外の気温はそれほど高くなく快適な程度。アラブ諸国とも違う、かといってインドとも違う独特の雰囲気を持つ国だなあと思った。いまのところ人々は親切で、インドよりも好印象だ。

何とも言えない雰囲気のある国だ

 

空港を出る際に両替を忘れてしまったまま、ガイドと合流した。ガイドは高身長の青年といった感じ。日本語ガイドと聞いていたので、先ほどお会いしたエンジニアと同じくらい流暢に日本語を話すのかとばかり思っていたが、随分とカタコトの日本語で、こちらの日本語も全部伝わっている感じがせず、若干不安になった。

現地風の太めのオッサンのドライバーは私とガイドを乗せ、未知の国の夜道を走っていく。車窓からは二人乗りでバイクに乗る男性、建築途中で骨格が剥き出しのビルが疎に並ぶ殺伐とした風景が目に入った。

イスラマバードは整然と区画された計画都市だが、夜ではその雰囲気はよくわからない。

林の中にあるMargala Hotelで警備員のいるゲートを通り過ぎ、ガイドがチェックインしてくれた。明日の集合は7時半と告げられた。ようやく長い移動も終わりである。客室は古いが比較的広く、リンゴが2個置かれていた。

シャワーを浴び、就寝。不安とワクワクが入り混じるが、ひとまず寝て、体を休めることにする。

Margala Hotel客室